さる6月9日(土)午後、大阪自治体問題研究所第28回定期総会が南森町の東興ホテルで開催されました。本総会には、51名の会員が出席、書面(委任状)出席632名を含め683名の出席となり、定款上の成立要件(正会員の過半数の出席)を満たしました。
会場の承認のもと、鎌倉健・大阪樟蔭女子大学助教授、藤永延代・おおさか市民ネットワーク代表の議長で議事がすすめられました。また、自治体問題研究所、大阪保険医協会、大阪民主医療機関連合会よりメッセージが寄せられました。
あいさつにたった重森曉・理事長は、総会議案の情勢分析にはふれられていなかった小泉政権について、「陽気な中曽根」路線、ないし「一周遅れのサッチャーリズム」と性格づけ、危険な側面をもつと指摘しました。こうした認識をふまえて研究所のいっそうの発展をすすめていこうと提起しました。
2000年度事業報告(第一号議案)は、木村雅英・常務理事が提案、この一年研究事業では、都市財政研究会による『しのびよる財政破綻』の研究・出版・報告シンポジウムや関西地域問題研究会の設立をはじめとして大きく発展し、他方、組織面では集中的な会員拡大ができなかったことを反映して会員現勢が若干後退したことなどが指摘されました。
2000年度決算報告(第二号議案)は、織原泰・事務局長が提案、2000年度は会費収入では若干予算対比で下回ったものの、調査をはじめ事業収入が伸び、全体として良好な財政状況であるが、しかし、依然として経常収入で人件費をはじめとする経常支出をまかなえるという安定的な財政基盤は築けていないということが指摘されました。
会計監査は、村中貴・監事が報告、厳密に監査を行ない、適正な財政管理が行われていることが報告されました。
2001年度事業計画(第三号議案)は、木村常務理事が提案、とくに市町村合併をはじめ地方自治をめぐる情勢が急展開している中で、研究所の飛躍的な調査研究・学習教育活動の発展が求められていることが提案されました。
2001年度会計予算(第四号議案)は、織原事務局長が提案、基本的には前年度決算をベースに予算を組んだことが報告されました。
第五号議案として役員の一部改選が、木村常務理事より、大阪教職員組合選出の杉本琢哉理事が退任したことを受け、後任として大阪教職員組合中央執行委員の山下弘毅氏が新理事として選出することが提案されました。
以上の提案を受け、質疑・討論に入り、八人の会員が発言しました。
平岡会員は、基金事業特別会計に支出予算が組まれていないことについて質問し、これに対し、織原事務局長が事業計画にもとづき本年度は支出を予定していないと答弁しました。
各地域での活動では、岸和田市職労の生長会員が、研究所との共同調査の中で財政分析を行い、当局のアクションプラン(財政再建計画)に大きく影響を与えたことや財政悪化のもとで逆にコンサルに委託せずに職員が自前ですぐれた産業振興ビジョン作成し、金がないことは発展のチャンスでもあることを指摘しました。
枚方市職労の片岡会員は、市民との共同の財政シンポジウムの取り組みを行い、当局や自民党の議員にインパクトを与えたこと。しかし、依然として当局は市民と職員を犠牲にした歳出削減を具体化しており、いっそうの住民との協同の取り組みが必要だと発言しました。
高石市職労の吉田会員は、当局が昨年7月保育所、幼稚園などの民営化を突然提案し、組合として研究会を発足させ、4月に財政報告書を出した取り組みや民営化をめぐる住民投票条例の直接請求運動の展開など市民運動が活発に展開しているにもかかわらず、当局は依然として民営化方針を強行する動きを見せていること。高石市政は「民主主義の危機」(説明責任の放棄)と「政策立案能力の危機」(財政再建計画が作れない)という二つに危機に見舞われていると報告しました。
住民の立場から大阪保育運動連絡会の樋口会員が発言。公立保育所の民営化が具体化する中で、普通の父母たちが運動に立ち上がっていることを報告。
また、大阪府職労の前田会員は、7月に府が「新行財政計画素案」を作成しているなか、府職労としても研究会を研究所の協力をえて行い対案づくりを行っており、改めて大阪府の役割とは何かを住民とともに考えていきたいと発言。
黒田会員は、政府がすすめているe-Japan計画の危険性を指摘。財界の意向をうけ、2003年に電子政府をつくるという計画が着々とすすんでいることにもっと研究所として調査研究に取り組むべきだと指摘。
吹田市民NPOの高橋会員は、退職者の能力を活用した、うたごえ喫茶や子育て支援、「家研究会」などユニークな活動を行っていることを紹介、研究所としてNPOとの連携ではなく、積極的に育成をしていく必要があることを指摘しました。
最後に総括発言にたった木村常務理事は、8人の会員の発言を積極的に受けとめ、市民が自治の主人公として活動でき、また研究所としてその役に立てるよう情報交流・シンポジウムなど具体化をしていくとともに、2003年、2005年など各分野で大改革が計画されており全国の研究所としても「構造改革研究会」を行っており、そこへ積極的にかかわっていくこと。基金事業特別会計については研究所の維持のためという新しい意味も昨年度に付与されていることなどを報告しました。
最後に、閉会のあいさつにたった後藤田弘・副理事長は、財政危機・行革攻撃の中でも自治体労働組合はいま立ち上がりつつある。そこに確信を持って住民とともに民主的地方自治の確立のために協同の取り組みを強めようと発言しました。
(文責 織原)
※ 総会に先立ち、記念講演(遠州尋美氏「草の根からの自治体再建を−地域の自立と公民協力の新しい方向」)が行われましたが、内容は「おおさかの住民と自治」11月特集号で紹介する予定です。