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第11回おおさか自治体学校
    ―――「もうひとつの都市再生」をめぐって活発に議論

 8月25日〜26日、第11回おおさか自治体学校が、交野市で開催されました。テーマは「もうひとつの都市再生―くらし・地域経済・環境まもるサステイナブル大阪をめざして」。2日間でのべ90人が参加しました。

 1日目の基調講演は、中山徹・奈良女子大学大学院准教授が「都市再生を考える」と題してお話しされました。中山氏は、本格的な人口減少時代を迎えたにもかかわらず、政府やや多くの自治体が従来型の「20世紀型都市計画」をすすめ、「都市再生」と称して高層マンションの建設や企業誘致などをすすめていると指摘。しかし、地域の実態は高齢化が急速にすすみ、コミュニティを維持できない事態がすすんでいる。また、高度成長期60年代に建設されたマンションは更新時期を迎え、これも大きな問題である。現在の都市開発の特徴は乱開発からいわば、「乱縮小」といえるとし、大都市一極集中の反面、郊外や農村部が衰退し深刻な状況にあると指摘しました。

 そのうえで、いまこそ「21世紀型都市計画」がもとめられるとし、それはいわば「縮小型都市計画」であると強調。ドイツでは「シュリンキング・ポリシー」(縮合政策)という理念にもとづき、集合住宅を計画的に縮小し、居住水準の改善やオープンスペースの拡大が展開されている事例を紹介。イギリスの炭坑跡地を「コミュニティ・フォレスト」として環境再生をはかっている事例やソウルの清渓川(チョンゲチョン)の再生の事例等が紹介されました。中山氏はさらにコミュニティを維持・再生するための分権型まちづくりシステムを提起。自治体内分権をすすめ、具体的には本庁に集中している職員を小学校区ないし中学校区レベルの単位の地域に配置し、権限も財源も地域に委譲することを提起しました。

 また、多くの自治体で企業誘致をすすめているが、グローバルに展開をしている大企業はいとも簡単に撤退していくのが実態である。そこで、フランスで行われている政策として撤退する企業にまちづくりのための財源負担をもとめる行財政システムの構築が必要であると強調しました。

 「特別報告」として、(1)「住民運動で町の景観を守り、条例化をかちとる」(松村長二郎・平野HOPEゾーン協議会会長)、(2)「市民の共同でエコ発電、地域通貨でまちも元気に」(一■正義・エコまちネットよどがわ会長)、(3)「かたの発・協働による環境への取り組み」(大湾喜久男・交野市環境保全課)と報告がつづき、活発な討論が行われました。

 2日目は、交野市私市にある大阪市立大学理学部附属植物園で午前中、園内の散策をし、午後からは、「市場主義と自然・環境」をテーマに講演・報告が行われました。植松千代美・大阪市立大学講師が「大阪市は私市に25haの植物園をもつ今日的意義」と題し講演。つづいて、坂本茂代さん(グリーンコンシューマーかたの)が「地球に負荷をかけないライフスタイルにむけた市民・消費者としての役割」について報告。さいごに、飯田秀男・大阪消費者団体連絡会事務局長が「日本は産業廃棄物輸出可能?」と題し特別報告を行いました。

 閉会のあいさつを兼ね、まとめを行った鶴田廣巳・関西大学教授は、グローバリーゼーションは地域の生活と密接にかかわっていると指摘。地域間の競争にさらされて、格差が広がっている。地域経済の再生―それは内発的発展と環境との調和であると提起。これからは、公共部門を強化し、住民との連携をすすめることがもとめられていると強調しました。地方自治をめぐっては、狭域の自治をすすめていくのが効率的であることを提起しました。

 今回のおおさか自治体学校の開催にあたって、地元の交野市職員労働組合のみなさま、および大阪市立大学理学部附属植物園のスタッフのみなさまにたいへんお世話になりました。厚く御礼を申し上げます。

(文責 織原 泰)

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