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府庁舎のWTC移転は最悪事態
  黙ってられへん! 府庁舎のWTC移転」シンポジウム

 2月28日、「黙ってられへん! 府庁舎のWTC移転」シンポジウムが当研究所と大阪府関係職員労働組合の共催で開催され、150名が参加しました。

 平井府職労委員長のあいさつの後、当研究所の鶴田理事長がコーディネーターとして基調報告に立ち、橋下知事のWTC移転構想は「関西の経済3団体の要望を丸飲み」するもので、府庁移転跡地の利用も歴史的景観を台無しにしてしまう危険性がある他、道州制・関西州の導入の手段とされ、巨大開発推進の出発点に位置づけられている点などの問題が提起されました。

 塩崎教授(神戸大学)は、「WTCへのアクセスは府の評価では△だが、防災上危険性の高い埋立地への移転は誰が見ても×だ」と府の評価に疑問を呈し、宮崎県の東国原知事が築75年の県庁舎を保全して観光の目玉にして成功した事例、韓国ソウル市で6?にわたる高架道路が撤去され、その下にあった川を再生して人気を博している事例を紹介し、「そのまんま府庁を磨いてどっしりと構えることが、誇りのある大阪を取り戻せることになる」と訴えました。

 都市プランナーの角橋氏は、WTC庁舎が今後30年以内に発生が予測されている「東南海・南海地震により、中低層階で被害が出ることが府の調査でも判明している」ことを示し、「災害時はアクセス切断により防災機能が消滅して『陸の孤島』として機能不全に陥ってしまう」と指摘。「幅広い府民各層が参加した中立機関による評価をするというプロセスを欠いた知事案は、独善的な思いつきの『自作自演』と断ぜざるを得ない」と批判しました。

 当研究所の飯田理事(全大阪消費者団体連絡会事務局長)は、WTCは「遠くて不便で行くのをためらう場所である」と述べ、府民の望む府庁舎は「品格があり、交通の便がよくて気軽に行ける場所にあり、いざというときにも機能を発揮できる場所・規模・体制である」と語りました。

 特別発言として、日本共産党の小松府議は「災害時に府庁舎に参集できるのはWTCより現庁舎の方が有利。現府庁舎には埋葬文化財が埋まっていることは、府の土地売却益の試算根拠を崩すことにつながる」と追及。当研究所の谷口理事は、「阪神・淡路大震災時の被害は臨海部に集中している」と明記した大阪市発行の冊子を紹介し、WTC移転に伴う防災上の問題点を強調。

 参加者から「知事あてに移転反対の意見書を提出したが、知事は府民の多くの疑問に答えるべき」、「移転すれば現庁舎周辺が空洞化して商売人に大きな影響が出る」、「保健所など府下にある本庁機能のネットワーク組織が、災害時にどうなるのかという視点での解明が必要」、「WTC移転に伴い開発がらみの利権が必ずつきまとうので、TVとは全く違う知事の別の顔を見ておかなくてはいけない」、「府庁本館は文化的価値が高い建物であるので、文化を守る点からも批判してほしい」、「知事は産業を興すために移転すると言っているが、本庁舎というのはそのためにあるのではない」など多くの質問・意見が出され、鶴田氏は「府政始まって以来の最悪の事態となっている」と批判。最後に「府庁舎のWTC移転計画を撤回し、府庁舎のあり方について府民参加での討論を求める」緊急アピールが採択されました。

事務局次長 松本裕彦

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