集団的自衛権行使容認に関する閣議決定の撤回を求める声明

2014 年8月1日
一般社団法人大阪自治体問題研究所理事会

 安倍内閣は、集団的自衛権の行使を認める閣議決定を強行した。
集団的自衛権の行使は、日本が海外での戦争に参加することを意味し、戦争の放棄、交戦権の否認を明記した日本国憲法9条に明白に違反する。このような閣議決定は、憲法99条に定める公務員の憲法尊重擁護義務にも違反し、さらに、改憲手続を経ずに憲法を変えるに等しいものであり、立憲主義という近代憲法の基本原則を踏みにじるファッショ的暴挙である。当研究所は直ちに、閣議決定の撤回を求めるものである。

 アメリカとの集団的自衛権の行使は、日米安保条約をも超える日米軍事同盟となり、限りなくアメリカの行う戦争に組み込まれ、かつてのベトナム戦争で韓国の青年約5000人が命を落としたのと同様なことが今後日本でも起こりうる。集団的自衛権の行使容認は、日本を海外で戦争できる国にすることであり、断じてこれを許してはならない。

 安倍内閣は、特定秘密保護法の強行採決、武器輸出3原則の撤廃、教育の国家統制の強化など、戦争する国づくりを進めてきた。そして、今回の閣議決定に引き続き、海外で武力行使ができる立法化作業に着手しようとしている。

 これまでの日本の法体系は、戦争はしないということを前提としてきた。これを180度転換し、戦争する国の法体系に変えようというのである。その波及するところは広範であり、地方自治や自治体の行政、国民生活全般についても深刻な影響を与えることが予想される。かかる情勢に対し、8月段階で既に190の地方自治体で意見書及び議会決議が挙げられており、さらに増加の傾向にある。大阪府域でいち早く意見書を採択した吹田市議会は「…本市議会は、政府及び国会に対し、我が国を自衛とは無関係に海外で戦争する
国へと変質させる集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈を行わないよう強く要望する…」と憲法の平和原則の遵守を求めている。

 日本国憲法はかつての侵略戦争の反省にたち、二度と戦争はしないという固い決意に基づいて制定されたものであり、それはまた、アジアや世界に対する約束でもあった。北東アジアにおいては、領土問題や歴史問題など、紛争の火種は各所に存在している。そのようななかで、日本が軍事強化の方向に舵をきれば、ますます、緊張関係を高めることになることは必到である。

 安倍内閣の暴走は留まるところを知らず、日本を誤った方向に導こうとしている。その暴走を止めることができるのは、われわれ主権者・国民である。

 平和を願う国民の運動で、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、地方自治という日本国憲法の諸原則を、しっかりと守ることを、広範な人々に呼びかけるものである。

>>上記PDFダウンロードはこちら