トピックス - 気をつけよう!「新たな機能性表示制度」
「Thinkstock」より
2015年4月1日から、新制度が導入される健康食品の機能性表示制度。国の許認可の手をはなれ、「事業者の自主」に委ねられることになりました。となると、消費者自身の選択眼も要求されます。消費者庁主催の意見交換会の内容をレポートします。
今や、1兆5000億円規模の健康食品・サプリメント市場、ここにさらに参入させたいのが機能性表示という分野。健康食品業界代表の話では、アベノミクス第三の矢だそうだ。
2013年6月14日閣議決定の「規制改革実施計画」の中の「いわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物の機能性表示の容認」と、同年同月閣議決定されている「日本再興戦略」の「食の有する健康増進機能の活用」が、それらの根拠です。本集会は、実施概要を消費者と事業者に説明し意見交換する、いわゆる「リスクコミュニケーション」の場です。但し、200人の参加者の大半が、企業の担当者でした。
最近ますます品数も増え普及しているトクホやサプリメントですが、これまでは国の承認・認定が必要でしたが、業界からの要望でしょう、アメリカのDSHEA(ダイエタリーサプリメント・健康教育法)制度を参考に、これまでできなかった一般食品の機能性(保健・栄養上の役割)を表示することを認める制度としてスタートしたものです。
国立健康・栄養研究所からは、減ったとはいえ健康食品による健康被害が年間20件強あると、笑えない事態が報告されました。今回さらに企業の自主判断で表示するものですから、「科学的根拠の明確さと誇大広告・消費者の誤解を招くような記述をしない」ことが義務づけられているとはいえ、この義務、果たして守られるのか、はなはだ疑問です。
体脂肪を減らすと言うキャッチコピーで登場した「ヘルシアコーヒー」や「伊右衛門 特茶」は数百万本を超える販売量だという。ところで、先述の研究所の報告では、肥満解消目的にへルシア緑茶を一日摂取目安量350MLの10倍にあたる2〜4?も摂取していた男性が2週間で四肢筋力低下などの症状が起こったと報告されています。こうした健康被害を防止するため、消費者の理解力が要求されますが、同時に、これまで健康食品研究をしてきた「府立公衆衛生研究所」など公共の研究機関の重要性も痛感します。藤永記