トピックス - 新刊 宮本憲一 著 『自治・平和・環境』
新刊 宮本憲一 著 『自治・平和・環境』
2015年8月10日発行 定価1200円(A5判、110ページ)
会員の方は、1080円(10%値引き)です。
宮本憲一先生が今年の自治体学校で、話された内容が詰まっています。
著書の最後の方にある「3 地方議会の民主化と住民運動の創造」を少し紹介します。
(1)議会の民主化
地方議会の改革も民主主義を守るために焦眉の急となっている。自治基本条例や議会基本条例の制定などによって、制度的改革はすでにすすめられている。議会基本条例は手続きの改革が主体であるが、これまで与党の主導権で不透明な運営をしてきた議会の機能をよみがえらせる効果がある。特に、首長との討論の形式の改革、広報活動、定期的な議会の報告会など、住民の意見を聴く制度の改善は、議会の民主化の方向としてすすめられて良い。しかし議会内部の改革だけでは、住民の認識は変わらない。
(2)住民運動の創造を ポピュリズムといわれる政治の出現は民主主義の危機であるが、あのような変化が生まれた背景には、若い人たちが現状に不安があり、現状を変えたいというエネルギーがあることを示している。どういう方法で現状への不満を民主的改革の主体形成につなぐか。私は学習会を重ねて主体をつくっていくしかないと思っている。私は20数年問、佐久地域で宮本塾をすすめてきた。宮本塾は小さな組織だが、そこで育った同人たちの住民運動の成果のひとつが、国際農村医学本部の拠点であり地域医療・保健・福祉の拠点である佐久総合病院の改築問題などで力を発揮した。革新自治体が誕生した70年代とは違い、民主勢力の力は弱くなっているが、社会の危機はあの時代よりも進化しており、住民生活の困難は多様で多幾にわたっている。それぞれの要求に応じて学習し、住民運動を組織することによって自治体の政治を変える条件は熟してきている。また、公務労働の条件悪化に対して、自治研活動による内部からの自治体労働者の運動の展開がなければ、地方自治の危機は解決しない。 今日、安倍内閣は改憲によって、平和、基本的人権、民主主義の戦後憲法体制を根本から変えようとしている。この動きを許してはならない。戦後憲法体制がある限り、私たちは基本的人権と民主主義の原理を生かして、もう一度革新自治体をつくることが可能なのである。 『自治・平和・環境』 目次 はじめに ? 転換期に立つ日本社会 − 民主主義・地方自治の危機 ? 憲法と地方自治−戦後史の教訓 ? 自治・平和・環境をもとめて ? 足元から維持可能な社会を あとがき
そのためにはまず住民が自らの基本的人権を守って、原発再開阻止、辺野古基地反対、特定秘密保護法反対、集団的白衛権反対などの市民運動に参加し、連帯をすすめることである。この運動の中で、公務員労働者が勇気をもって、かつての自治研活動のようにこれらの運動のコーディネーターとしての役割を果たすことが求められている。
1 平和から戦争準備体制へ 安保条約と憲法のどちらが平和を維持してきたか
2 戦後最大の危機
1 安全保障と地方自治 − 辺野古基地建設反対の民主主義 −
(1)地方自治と環境政策の危機
(2)安全保障と地方自治をどう考えるか
(3)「沖縄の心」と沖縄政策の転換
2 原発災害 予防原則から再開阻止を −大飯原発差し止め京都訴訟への意見書−
(1)原発災害問題に対する3つの局面
(2)原発運転再開は予防の原則から許されない
3 大阪都構想とその否決以後
(1)大阪都構想は都市自治体消滅政策
(2)大阪都構想は現代日本の大都市制度の改革となりえない
(3)東京の真似はやめ、「都市格」のある街・大阪を
(4)大阪都構想の否決とその後
1 戦後改革と「地方自治の本旨」
(1)「地方自治の本旨」
(2)全体の奉仕者としての公務員
2 自治研活動と革新自治体の教訓
3 分権改革・三位一体改革・市町村合併と自治体
1 歴史は未来の道標−住民の運動が政策を変えるー
2 都市政策としての「都市格」
(1)「都市格」とは
(2)「都市格」のある二つの都市
3 維持可能な社会へ
(1)資本主義は変わったか
(2)資本主義と共同社会(的条件)
4 維持可能な社会の思想と現実
(1)成長と環境の調和
(2)「リオ宣言」によってSDを人類の共通目標として採択
(3)SDによってめざすSSとは何か
(4)経済成長主義からの脱却
(5)内発的発展
1 EUの維持可能な都市政策
2 日本の維持可能な内発的発展
3 地方議会の民主化と住民運動の創造
(1)議会の民主化
(2)住民運動の創造を